フリースタイルリブレとダイエット

深刻な不調が現れたため厳しい糖質制限を中止し、リブレで血糖を測りながら、自分にあった健康的なダイエット(食事法)を目指しています

【高脂質食】最近SNSで話題の牛脂ダイエットのリスクについて調べてみた

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最近ツイッターで話題になっているのが「毎日焼肉を食べても大幅減量に成功」という減量方法で、その食事法に従って「牛脂を大量に食べる」という食事を摂る人が増えています。なんでも1日に300gもの牛脂を食べる人もいるとの書き込みも珍しくない。しかし、一般的な健康や減量を目的とする栄養指導や保健指導においては、低脂肪食が勧められています。今回その指導等に反する話題の食事法のリスクについて調べてみました。

近年は外食産業も糖質制限商戦に参入

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ここ数年で一気に糖質制限商戦に大手企業も参入するようになり、世間ではダイエットや糖尿病に知識のない人達の間でも「糖質制限」という言葉を知られるようになりました。

それまでは一部の企業において糖質関連商品が取り扱われていて、ダイエットや糖尿病の方たちは「糖質制限商品」をわざわざ探して購入していましたが、今では探さずとも「糖質オフ」や「低糖質」をうたう商品がスーパーやコンビニの棚に多く並ぶようになりました。

外食産業においても、ご飯を野菜に置き換えたり、麺をこんにゃくなどを練りこんだ低糖質麺に置き換えたりと、のぼりを揚げて糖質制限商戦に参入するようになりました。

こうして世間で糖質制限がだんだん一般的に認知されるようになり、本屋にもたくさんの糖質制限に関する本が並び始めると「糖質制限で○○キロ痩せました」という人達もさほど珍しくなくなり始めてきました。

ダイエットの本も健康本も料理本も、糖質制限という言葉が一般的になって来ています。その傾向については、早い時期から糖質制限をご存知の方々は、日々感じておられると思います。

すると最近、ちょっとおかしな傾向が目につくようになりました。

「普通に糖質制限を取り入れたダイエット法をうたっても注目されない」

「人と違った糖質制限法を提唱しなければ本は売れない」

というかのような、異色の糖質制限法が注目され始めました。

牛脂を食べれば糖質ゼロの高脂質食ダイエット

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単なる糖質制限をするくらいじゃ生温い、ともいいたげな、異色のダイエット法を私がツイッターで知ったのは、2018年秋頃でした。

焼肉とアルコールを止めずに、たった2か月で30キロの減量に成功した、

リバウンドもなし!運動もなし!美肌効果もあり!

とうたう、その減量方法にびっくり(笑)

確かに1年経った今も、ご本人はスリムな体型を維持されていますし(今は牛脂以外のものもたくさん召し上がっておられるようですが)、50歳という年齢でいらっしゃいますが、確かにお肌はキレイですので(美容整形にも通われてるようですが)、看板に偽りはないということなのでしょう…。

その方が提唱される独自の食事法が高脂質食。牛脂、バター、MCTオイルなどの脂質を多く摂り、糖質は極限まで減らす、という食事法を推奨されています。

肉や魚や卵なども糖質を摂らないように気をつければ食べてよい、というような内容のようです。

「毎日焼肉を食べても2か月で30キロ痩せた」という書き込みに、多くの減量希望者がいいね&フォローし、ツイッターを賑わせています。

その食事法を実践する方たちの中で、一部の熱狂的支持者には、牛脂を多く摂る食事が人気の様で、朝から牛脂、昼も夜も牛脂と、中には1日に300g以上もの牛脂を食べる方もおられるようで、街のステーキハウスでは牛脂を割り増ししてもらうように注文したり、肉屋に牛脂を買いに走る人まで出ている様です。

私のこれまでの感覚では「牛脂好き」のレベルについては、「すき焼きの牛脂が好きで食べる」や「美味しいステーキ肉は脂が旨い」程度のものだと思っていましたが、なんと!牛脂をメイン食材として食べるその食事を見て二度びっくり(笑)

焼いたり煮たりと、主食のように大量に食べられている方もおられて、調理時に使う調味料的なものではなく、主菜として牛脂を食べている方がいらっしゃるのです。

牛脂?!…焼いたらほぼ跡形は無くなるんじゃないの?溶け出た脂を飲むの?という驚きの感覚でその内容が気になってしまい、ついついそれらの投稿を追ってしまう毎日です…。

脂質摂取は総カロリーの20~30%以内を推奨

厚生労働省が定める、日本人における栄養指導や保健指導、生活習慣病等における疾患治療ガイドラインの元ともされる、日本人の食事摂取基準(2015年度)では、疾患の予防や健康を推奨する食事内容として、基本的には低脂肪食を勧めています。

最年、高脂血症や脂質代謝異常を患う方が増えており、健常な方において脂質の推奨摂取量(目標量)は、1日の摂取カロリーの20~30%以内としています。(高脂血症や脂質代謝異常のある方はそれよりも少ない量を勧めています)

その中でも特に牛脂などの動物性脂肪である飽和脂肪酸については、7%以下になるように、としています。

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※日本人の食事摂取基準2015年度版より

では実際にどのくらいの量を摂っていいのか?となりますよね(笑)

健常な成人の推奨摂取カロリー(推定エネルギー必要量)を2000kcal/日とした場合(女性の30~40代平均値)、脂質の1日の摂取目標量が20~30%だと400~600kcal相当になります。

しかし、その中でも、飽和脂肪酸は7%以下になることを推奨していますから、動物性脂肪のカロリーは、1日140kcal以下に抑えることが望ましいと言われています。

単純計算で脂肪分は1gあたり9kcalと言われていますから、140kcalで割ると、おおよそ15g以内/日が一般的な摂取量と考えられます。

男性の30~40代の場合で、推奨摂取カロリーが2650kcal/日ですから、それでも飽和脂肪酸は約185kcal以内(約20g/日以内)となります。

もちろん個人の体質や筋肉量、一日の運動負荷によっても異なってくると考えられますが、これらから推察しても、1日300gの牛脂はさすがに摂り過ぎじゃないの?と、ちょっと心配になってきます…。

飽和脂肪酸の1日の目標量が7%以内、について、高脂質食支持者の方々の中には「何を根拠に決めているか信用できない」や「もっと摂っても健康な人はたくさんいる」として、守るべき基準に値しないと言われている方もおられます。

しかし、厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準」の数値には、当然のことながら、きちんとした根拠があります。

健康な方が健康を維持するための目標値・推奨値として、国内外から多くの論文を集め有識者たちで精査し、その中の信頼できる研究結果から、多くの方々に勧めても問題ない、国として自身を持って推奨できる値として発表されているのです。

私も先日、日本人の食事摂取基準2020年度版の研修会(2019年9月)に参加してきました。策定基準を定めるまでのその内容をお聞きして、これまでその数値について、さほど重みを感じていませんでしたが、今回の研修会に参加して「多くの方に勧められる数値」としての重要さを改めて知ることが出来ました。

 

牛脂にはどんな栄養素が含まれているか

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※文科省「食品成分データベース」より

ざっと見ただけでも脂質しか含まれていないというのがよく解りますよね💦100gの牛脂に含まれる脂質が99.8g、牛脂はほぼ脂でしかないということに。

その詳しい成分を見てみると

(牛脂100g)

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詳細な栄養素をみると、ビタミンAが少量含まれていますが、牛レバー100gに含まれる1100マイクログラム(ug)に比べれば、とても少ないことが解ります。

ビタミンAの他にはビタミンKがありますが、こちらはバター100gと比べても同等量ですので、取り立てて注目すべき栄養素では内容に思われます。

牛脂の主な成分構成は、やはり見た目そのものである「脂」しか含まれていないように思えます。これらから、微量のビタミンAとビタミンK以外の栄養素はほぼゼロと考えてよいのでは?と思います。

短期的に糖質を極端に制限して、脂質のみで1日のエネルギー量を補うことは可能かと思われます。しかし、栄養面から牛脂に含まれるこの栄養素をみる限りにおいては、長期的に高脂質食を行うことは、多大な栄養不足を起こすことが想定されます

高脂肪食は糖尿病や高コレステロールになるリスクが高い

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高脂肪食のリスクを調べいると、どうしてもマウス実験のものが多いのですが、人間での文献を探してみました。

その中でいくつかヒットしたもので気になったのは、2型糖尿病になるリスクを含む※1というものでした。インスリンの感受性が悪くなる、つまり最終的にはインスリンが出なくなり、糖尿病になるリスクが上がるというものです。

また、低炭水化物・高脂肪食でコレステロール値が上がるというものもありました※2。

先の投稿でもお話していますが、私が1年半続けた糖質制限をやめたきっかけが、まさに、糖尿病の様な症状が現れ、コレステロール値が上がった、というものでした。

耐糖能の低下が原因だと思われます。

その当時、私は厳しい糖質制限を課し、糖質を制限する分の代替え栄養として、多くの肉を食べ、バターや生クリーム・オメガ3やMCTオイルを意図的に多く摂る食生活をしていました。

たまの外食にはステーキ店やファミリーレストランで、300gものステーキを注文して食べていました。もちろんステーキソースは無し、付け合わせの野菜や白米も一切食べていませんでした。

また朝食に高脂肪の純生ホイップクリームをホイップして食べたり、MCTオイルを入れたコーヒーを飲んだり、昼食にはお味噌汁に50gの無塩バターを溶かして飲むというような、まさに「低炭水化物・高脂肪食」を実践していたのです。(今思えば本当に恐ろしいことをしていたと後悔しています)

その後の血液検査で、この文献の通りの結果が見られたために、厳しい糖質制限を中止し、高脂肪食をやめたという経験があります。

 

どんな食事法においても自己責任で

もちろん、高脂肪食を摂る全ての方がこのような症状が現れるとは思いません。中には厳しい断糖食を長く続け、高脂肪食を続けていても、調子よく、血液検査の結果も問題なく過ごされている方もおられるようです。(あくまでもSNS上の投稿を拝見してのことですが)

しかし、私の様に非糖尿病でありながら、厳しい糖質制限や高脂肪食を続けた結果、

糖尿病でなかった人間が糖尿病患者に近い症状が見られるようになり、

肝機能数値や中性脂肪が低値になり、

また相反してコレステロール値は基準値を超えて高くなった

という人間も実際にいるんだというような、こういったリスクが高まることがあるという事例も知っておいて頂きたいなと思います。

そんなリスクがあるということも全く知らずに、血液検査なども一切受けることもなく、健康を目的として高脂肪食を続けた結果、生活習慣病に(高血圧・高脂血症・糖尿病等)になってしまうことになれば、本末転倒です。

生活習慣病の怖いところは、気づかずに悪化させてしまった症状は、なかなか短期間で改善することは難しく、完治は難しい、とも言われています。

もし糖尿病になれば一生、食事制限や投薬が続くことになる可能性もあること、悪化すれば腎臓病に至ることもあることをぜひ知っておいて頂きたいなと思います。

<参考資料> 

※1 フォン・フランケンAD 、マリーナA 、ソングX 、キャラハンHS 、Kratz M 、Utzschneider KM 、高脂肪、高飽和脂肪食は体重が安定した太りすぎや肥満の成人で腹腔内脂肪を変えることなくインスリン感受性を低下させる、2017 Feb;  56(1):431-443。doi:10.1007 / s00394-015-1108-6、Epub 2015 Nov 28、PMID: 26615402  PMCID: PMC5291812 DOI: 10.1007 / s00394-015-1108-6

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26615402

※2 KjetilRetterstøl'、 Mette Svendsen、 イングルン・ナーベルド、 キルステン・B・ホルベン LDLコレステロールに及ぼす低炭水化物高脂肪食の影響と正常体重の若年成人における遺伝子発現:無作為化比較試験 DOI: https://doi.org/10.1016/j.atherosclerosis.2018.10.013

https://www.atherosclerosis-journal.com/article/S0021-9150(18)31432-1/fulltext